その後、Crystal Radio (以後、XR)について調査、実験、研究を進めたところ、一見、その単純な構成の中に基本的な RF technologyが満載であることを理解した。
多くの検討すべき要素を整理し、全体を俯瞰することが最初に行うべき事かと思う。
その前にまず、これも各分野の先人の業績があったればこそなので、列挙したい。まずはこの三人の巨人。
- 浅瀬野、探検ゲルマラジオ
包絡線検波器(Diode検波器、Detector) をXR の心臓部と位置付け、無線工学と電子工学を駆使し、理論的に本質に迫り、他の追随を許さない。
一方、残念ながら、研究対象が音声出力装置を含む検波器以降の事柄なので、受電部、接地部、同調部については out of scope、他をあたるしかない。 - 高橋淳、マイクロ・パワー研究所
秋葉原のラジオデパート1Fで店舗を経営している。自社で開発・収集・販売する高性能部品(製品)を用いた実験を通して XR の本質に迫っている。研究対象はXR技術の全てに及ぶ。website が3つあるが、お客として店を何度も訪問し、直接教えを乞うことができる。
残念ながら website の作りは現代のものではなく、またアカデミックな記述方法でもないので、ネットで彼の研究成果を十分に理解することは難しい。すなわち、秋葉原を実際に訪問する理由は、彼からXRに関する最高のレッスンを受けることでもある。
- 小林健二、ぼくらの鉱石ラジオ
XR の鉱石に魅せられた少年が、その後、鉱石の収集とXRの歴史の研究、そして本業の芸術や哲学へ発展をさせた方。石とXRの収集と歴史研究では他の追随を許さないのではないか。
一方、残念ながら XR 技術の理論と実験の解析ということには重きがない。彼の中では多くの実験データをとっているとは思うが、再利用するためのアカデミックなアウトプットはここでは望めない。
また、なんといっても感謝したいのは、身近で相談に乗ってくれるフレンド局の存在だ。
- 田中、JK1AUU
高い調査能力と豊富な経験で多くの有益なヒントをくださる方。電子レンジを DIY で使いこなす最右翼?!
プラス、以下のサイトも参考にさせていただいた。
- 藤平雄二 RF ワールド
- CRL ゲルマラジオの試作工房
多くのYouTube channelsや websites、記事、論文 から、優れた単品のアイデアは頂戴した。それぞれの内容には優れたものも存在し、感謝したい。
一方、XR 技術では、単品の技術だけでは全体のパフォーマンスを上げることができず、微妙な全体バランスが必要とされる。言葉は悪いかもしれないが、「群盲象を撫でる」状態に陥ってケースが実に多い。
XR 技術の全体像、目次
- AM放送の先行きと研究のモチベーション
- 外部 antenna
- 同調回路の coilと線種
- Ferrite Bar
- Coil の次数
- 2次 Coil の時の配置
- 音声出力装置
- 検波回路と音声出力装置のImpedance Matching
- 倍電圧回路の有無
- ダイオード 包絡線検波器
- コンデンサー
- Earthing
- 客観評価のための測定
- 外部 Powered Speaker
- 実験環境の構築
1: AM放送の先行きと研究のモチベーション
中波帯のAM放送が2028年に終了するのかしないのかは、正直言って、記事を読んでもよくわからない。しかし放送局の経営状態からすれば、一気にではなくてもFMに移行することで経費節減を進めたいのは間違いなかろうと思う。そうすると、見かけの簡単な XR をきっかけに RF の基本技術を学ぶ機会が奪われることになり、大きな技術損失に繋がる。今は2022年なので、残された6,7年を有効に使い研究を進めたいところ。
2. 外部 antenna
現在、約45m と約135mの2本を展開し実験しているが、
- 長さの違いは入力振幅電圧にどう影響するのか
- 水平ループと垂直ループの違いはどうななのか
- 単素線とリッツ線の違い、断面形状とその周波数特性はどうなのか
などが研究課題
3. 同調回路の coilと線種
同調回路の違い、コイルの違い、選手の違い、巻き方の違いなど、ここは星の数ほどの選択肢がある。XRの探求の大きな部分を占める。周波数特性に関する議論の主戦場。
4. Ferrite Bar
Ferrite Bar の形状、品質、量の違いでどうなるか。
5. Coil の次数
コイルはいくつ使用すべきか。複数の構成を実験したい。
- 1次コイルのみ
- 2次コイル
- n次コイル (n>2)
6. 二次 Coil の時の配置
7. 音声出力装置
8. 検波回路と音声出力装置のImpedance Matching
9. 倍電圧回路の有無
10. ダイオード 包絡線検波器
直流起電力 ー ダイオードの電圧降下 = 出力電圧
だが、影響を与える変数が多いため、ここがXRの勝負どころになる。
コンデンサー
Earthing
客観評価のための測定
外部 Powered Speaker
客観評価のための測定
外部 Powered Speaker
実験環境の構築