俗に言うクリスマスツリーアンテナについて。開局するにあたりどんなアンテナ構成にしようかと思案した時に検討。
写真はとある場所でたまたま見かけたとても立派なタワーと八木アンテナ。どちらの局なのかは全く存じず。建物は特定できないように消去処理。

もし自分が北海道の田舎にいて、100m x 100m のような広大な土地を安く買えるのであれば、バランスの観点から景観もさほど害さないし、そもそも過疎で人が少なく気分を害したりする人もおらず、例え悪天候等で倒れても自分の敷地外に損害を与えず、と言うことでなんとかいけそう。
一方、東京の現在の私の環境でアンテナ設置を計画する場合はどうか? これを最初に検討。その結果、
- 逆円錐形はバランスが悪く、猛烈な台風や大雪に耐えられない
- 逆円錐形はバランスが悪く、景観を害する
- 日々のメンテナンスのためのアクセサビリティが悪すぎる
の3つは如何ともしがたく、これ以外の方法で行くことに決定。
特に(1) の台風は最大の懸念事項。歴史に学ぶ。
まず、気象庁のサイトに台風の基本情報が書いてあるので、それを引用する。台風の強さの階級分の表が以下のようになっている(Sep.18th,2021 時点)。

余談だが、ノットは英語では knots。knot + s。頭の k は「キロ」ではない。Wiki。1時間に1海里(1,852 meters) 進む速さ。1海里とは、地球の緯度1分(1度の 1/60)に相当する長さで、現在でも航海や航空分野で使用されている。
台風の定義は風速 34 knot 以上。問題は 85 knot や 105 knot などの破壊的な風速があり得る事だ。

昔の台風は測定技術や記録の問題もあって風速がわからないものもあるが、死者不明者数でその凄さは充分に想像できる。
1951年以降の記録しか現在辿れないが、上の表で最強の伊勢湾台風(1959) は米軍の記録によると
165 knots 85 m/s
だ。残念なことに日本の気象庁の記録は残されていない。クリスマスツリー型アンテナはひとたまりもないだろう。たとえその約半分の 85 knots でも条件によっては耐えられないかもしれない。
一方、最近の台風で記憶に新しいものは、特に千葉県で猛威を振るった令和元年房総半島台風(2019年9月上旬)だ。この記録は2つのソースがある。
85 knots 45 m/s 気象庁
115 knots 59 m/s 米軍
同じ米軍の記録でも伊勢湾台風には及ばないが、そもそも風速 40 m/s クラスになると状況によってはトラックなどが横転する半端ない強さだ。
2019年なので、多くのYouTubers がこの時の映像を公開している。例えば以下は大型トラック運転手が車内でヘッドギアにビデオカムを装着して撮影したものだ。なおこの映像での風速は誰にもわからない。単にこの時の台風の時と言うだけで、風速は場所にもよるし同じ場所でも時々刻々と変わるのだから。
06:00 強風でトラックを停車したが、これだけ揺れる
09:26 トラック横転現場 その1
10:04 トラック横転現場 その2
これは前年の2018年の台風の時の動画だが、アマチュアレベルのアンテナ構造物などひとたまりも無いくらいに破壊されるのが容易に想像できる。
これらに学ぶと、この自然の猛威に私の環境で構築するアンテナ施設が正面から立ち向かうのは明らかに違う、と言う結論になる。伸縮性のマストを極限まで使うのが一つの案。それから「柳に風」よろしく、Vertical Quarter Wave Length Antennas などの最軽量アンテナシステムも良い。
まだ他にも解はありそうで、この探検が面白いところ!
続く。。